「歌ってみた」とはニコニコ動画のカテゴリタグの一つ。
自らの歌声を動画に収めて投稿したもの。
音楽活動を行うボーカルの方で「歌ってみた」を投稿している人は非常に多いです。
「歌ってみた」というとニコニコ動画のイメージが強いですが、Youtubeやtwitter動画、Instagramなどのサービスで行われ、プラットフォームが多様化する時代になりました。
歌ってみた動画のヒットからメジャーデビューにつながったり、プロの世界での活動のきっかけになるケースはたくさんあります。
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私の知り合いに、アクセスが100万を超えるヒットコンテンツを出したボーカルの方がいましたが、直接プロのプロデューサーからメッセージでコンタクトがあったそうです。
たくさんの人が見ていれば当然、音楽業界の人の目にも触れる事ができるので、非常に有効なプロモーション手法だと言えるでしょう。
歌った歌を投稿するなら、なるべく良い歌声を高いクオリティーで投稿したいですよね。
でも、レコーディングやDTMの知識がない人には、いきなり「歌ってみた」の作品を作るのは難しいかもしれません。
今回は、レコーディングスタジオ「やすろく」のエンジニアでもあります高岡が「歌い手のための『歌ってみた』録音方法」について解説します。
準備編
「歌ってみた」を始めてみようと言っても、まずは何を用意すれば良いのでしょうか?
準備編では、歌ってみた動画の作成に必要な環境を説明します。
パソコン
スマートフォンやタブレットでも録音ソフトやDAWソフトは増えていますが、作業の細かさや拡張性・スペックを考えるとパソコンは必須。
Mac・Windowsはどちらでも構いませんが、モニターが大きいPCが一台あると、編集作業もスムーズに行う事ができます。
オーディオインターフェース
オーディオインターフェースは、音質に特化した録音・再生の心臓部。
録音した音声をデジタル信号に変換したり、デジタルデータをアナログな音声に変換する、通称D/A変換を行うのが、この機器の主な役割です。
オーディオIFの性能次第で、再生音や録音する音が大きく変化する、とても重要な機器です。
パソコンにも内蔵スピーカーやマイク端子がありますが、音質は悪くノイズが乗りがち。
安い製品でも良いので、必ず用意するようにしましょう。
最近だと、マイクとセットで販売されている安価な製品もあります。
ボーカルマイク
一般的にはコンデンサーマイクが音が良く、ニュアンスを良く拾えるとされていますが、録音環境が悪いと、生活空間の雑音も同時に拾ってしまうため、あまり良い結果が出ません。
家で無音の空間を作れない人は、ダイナミックマイクを選択しましょう。
ダイナミックマイクも上手に使うとローノイズで素晴らしい録音が出来ます。
録音ケーブル
マイクケーブルは同じ大きさのXLRというコネクタのオスメスのものを購入します。
片方がギターシールドのようなジャックタイプは、出力が低くノイズだらけなので避けましょう。
機材の購入について
安くてよいところでは「サウンドハウス」が有名です。
僕もよく使用しています。
最近では、ベリンガー製品等に代表する「安くて使える商品」が非常に増えているので、大きなコストをかけずに「歌い手」になることができますよ!
録音編
自分が初心者の時は、高価な機材やマイクがないと良い音が収録できないと思いがち。
僕は自分の作品制作から、仕事でレコーディングエンジニアをするまで、約10年、1000件近い収録を行ってきました。
その中でわかったのは、マイクや機材ももちろん大事ですが、ボーカルのコンディションや収録方法、収録環境のチューニングの方がよっぽど重要性が高いということです。
録音編では、エンジニアとして高岡が注意しているポイントなども含めて紹介します。
マイクとの距離
遠すぎず近すぎず、大体10センチ程度の距離をとりましょう。
息マイクにあたる音が録音されてしまうと使えない音になってしまいます。
- マイクスタンド
- ポップガード
上記2点は必ず使用してください。
※ポップガードは金属製がオススメです。パンストのような布地のものは、少し音がこもり空気感がなくなります。
録音ソフト
私がフリーでおすすめしているソフトは「Studio One 3 Prime」
PreSonus Studio One3シリーズのフリー版。
機能制限はありますが、使用期限は無く、非常に音質が良くUIも使いやすいです。
「歌ってみた」の録音・ラフミックス程度なら余裕でできる機能が備わっています。
必要に応じて有償版にアップグレードするのがおすすめです。
録音レベルの調整
録音したデータは、下記のような波形としてデジタルの音声になります。
波形が小さすぎると音量を上げた時にノイズだらけになり、逆にピークが0dbを超えてしまうと歌にノイズが乗ってしまいます。
録音の段階で適切な波形になるよう、インターフェース側の録音レベルを調節しましょう。
サビとそれ以外の録音レベルを分ける。
一般的にサビはキーが高いため、声が大きくなりがち。
歌うセクションによって声の大きさが変わるので、面倒ですがそれぞれ録音レベルを変更しましょう。
波形の大きさが大体揃い、聞いた感じ全体が同じくらいのボリュームで聞こえるのが理想です。
レコーディング時のテイクのチェックポイント
レコーディングでは、自分で録音した内容のOKやNGを判断するため、歌を正しく聴く力や、歌のビジョンを明確に持ち、自分の収録テイクを判断する能力が重要になります。
実際、人は音よりも印象や雰囲気で判断しがちです。
レコーディングでは、よく以下のようなシーンを見かけます。
- 後半に歌ったテイクの方が良く聞こえる
- 音程やリズムにとらわれすぎて、歌自体のトーンやニュアンスがおろそかになる
- 複数の人に違う意見をぶつけられ、どう歌えば良いのかわからずパニック
レコーディングでは、普段歌っている以上の実力は絶対に出ません。
スポーツと同様、本番は7割の力しか出せないと思ってください。
普段から、ただ癖で歌うのではなく、表現方法を細かく模索したり、コンセプトを明確にした上で練習することで、レコーディングでもブレずに自分の歌が歌えるようになります。
やすろくのエントリーもぜひ参考にしてください。
録音後のミックス
録音した素材も大事ですが、それと同じくらいこのミックスで作品の出来が決まります。
僕も「歌ってみた」のミックスをするときは、さまざまなプラグインを駆使します。
よくわからない人は、コンプレッサー・イコライザー・リバーブからスタートしてください。
- イコライザーで100hz以下の低域を削る。他の耳障りな帯域を0.5db程度カット
- コンプレッサーのプリセットからボーカル用のプリセットを選択し、2db程度コンプされるように設定する
- ポップスならルームリバーブ、バラードならホールリバーブを薄くかける
これだけで、かなり曲との馴染みが良くなるはずです。
まとめ
良い歌い手ほど、録音の仕方・録音後の処理が上手だったりします。
※もちろん歌自体も非常に上手ですが。
録音する事で自分の歌声を客観的に知る事が出来るので「歌ってみた」を続けるだけで歌の上達に大きな効果が期待できます。
興味がある方もすでに投稿経験がある方も、もっと良い歌が録音できるようにチャレンジしてみてくださいね!
※レコーディングスタジオ「やすろく」では、格安で高音質なボーカル修正、ミキシング〜マスタリングを提供しております。
一度プロの技術を体験してみたい!という方は、こちらより価格やサンプル音源をご視聴の上、検討くださいませ。