プロの歌手の中には『練習をほとんどしてこなかった』という人もいます。
カラオケなんかに行っても、たまにしか歌わないのにすごい歌が上手な人っていますよね?
自分が一生懸命ボイストレーニングをしているのに、何もしてない人が簡単に上手な歌を歌っていると、真面目に練習するのがバカバカしくなってしまうかもしれません。
『歌は才能で決まってしまうのか?』
私もそんな風に思ってしまうこともありました。
歌や声は素質や才能で決まってしまうのでしょうか?
私がボイストレーナーとして多くの人の声や歌を見てきた経験をふまえ、歌と才能の関係についてお話しします。
生まれ持った『声』
声はいわば『体』という器官をつかった楽器です。
体は一人一人異なるので楽器によって当然音も違います。
素質として特殊な声を持って生まれてくる人も少なからず存在します。
では、この人たちは『才能』を与えられた人なのかと言えば、そうではありません。
個性的な声は、幼少期や学生の間は差別やいじめの原因の一つ。
個性的な声の人のほとんどがそれを『コンプレックス』と考えて成長します。
自分の持っている素質を良い方向に持っていくには、自分の声と正面から向き合う努力をしていなければ、どんな素質も『個性』にはなりえないのです。
練習をまったくしない人
私はボイストレーニングで発声練習を教えます。
たまにですが、何もせずとも良い声で表現力が豊かな人もいます。
練習もしていないのに、なぜ最初からできてしまうんだろう?
これには、ちゃんと理由があるんです。
日常生活で習得する基礎発声
例えば『性格が明るい人は声が大きく笑顔が多い』とします。
上記の人は、ボイトレにおける下記の基礎項目を、日常会話において行っている事になります。
- 笑顔が多い人は、口角をあげて話している
- 大きい声で長時間話すため適切な腹式呼吸を習得している
歌はスポーツと同じで、コツがあります。
下記のエントリーも非常に参考になりますよ。
練習量ももちろん大事ですが『正しい練習をしているか』が一番重要。
それが無意識に出来る人は会話で発声を整えているので、練習をしなくても良い声が出ます。
性格から来る表現力
次は歌の表現力について考えてみます。
表現力とは『今そこで感じたように』感情を表現する能力です。
役者さんに非常に近いですね。
悲しい歌なら涙を流し、楽しい歌なら最高の笑顔を見せる。
音楽の世界観を感情を乗せて伝えるのが『歌の表現力』というもの。
これは『日常における感情の起伏の大きさ』に影響されます。
感情の起伏が大きく喜怒哀楽が激しいひとほど、音楽でも抵抗無くそのニュアンスを出せる事が多いです。
結果、非常に表情豊かで個性的な歌が生まれます。
このような人は、絵でも文章でもその人なりの個性が出ます。
単純に『歌がうまい』ではなく『物事に感情を乗せるのが上手い』のです。
では、あなたは何をすれば良いのか?
上記のような要素を、あなたは持ち合わせてないかもしれません。
では一体どうすればいいのでしょうか?
答えは非常に簡単。
彼らと同じ事をすれば良いのです。
- 人と会話をするときは笑顔を絶やさず大きな声で
- 感情を閉じ込めず、どんな感情もそのまま吐き出す
この二つを行うだけでも、あなたの声や歌は大きく変化します。
なぜなら、彼らはこの練習で上手になってきたんですから。
素質に頼るリスク
先天的な能力を持った人にも弱点があります。
それは『応用が利かない事』
才能や素質に頼ってばかりの人は、その能力でできないことへの応用がききません。
感覚的に行っているので、自分が何をしているか知らないのです。
能力だけでこなしているだけでは、ただの『まぐれ当たり』
構造や事象を理解した上でその能力を使いこなすからこそ、自分の本当の素質を知る事ができるのです。
私が指導するボイストレーニングの中でも、素質に満足してしまっている人は必ず伸び悩んでしまいます。
素質の使い方が分からない方に、さらに高いレベルの表現やプロの技術の習得への道筋を示して上げるのも、本教室のレッスンの目的の一つです。
まとめ
素質のある人は、『たまたま』日常的に練習をしていたにすぎません。
難しい事は何も無く、あなたにできないことは何一つ無いのです。
今日から真似をして同じ事をすれば、必ず同じだけの効果が得られるでしょう。
もし、やり方が正しいのか不安を感じるのであれば『録音ボーカルカウンセリング』で自分の声を診断してみて下さい。
客観的に冷静な視野を持って、自分の本当の素質を引き出してあげましょう。