ボイストレーニングのスタンダードともいえる「リップロール」(リップトリル)トレーニング。
発声に必要な表情筋の使い方と不要な力みを取り除ける効果抜群なメニューである事から、初心者はもちろんプロのボーカルの方ももれなく行うボイトレメニューです。
どんなボイトレ教室でも必ずはじめにこのメニューを実践します。
高い声が出やすくなる他、シンプルな内容とは裏腹に発声に多くのメリットがあります。
「唇をプルプルすれば良い」簡単ですが、正しく実践するほど効果が倍増する練習方法です!
リップロール(リップトリル)をより効果的に行うために、効果と練習のコツを解説します。
リップロール(リップトリル)やり方
- 口を閉じ、軽く唇を突き出します(少しアヒル口の状態です)
- 鼻呼吸で、腹式呼吸で息を吸い込みます
- 閉じた唇の間から息を吐き出し、唇を「ブルブル」と振動させます
息を吐ききるまで、できるだけ長い時間、唇が安定して振動するように目指してください。
口の周りの筋肉を使うように意識して、少しえくぼを作るような感覚で行うと成功しやすいです。
- ④ 慣れてきたら、口を閉じたまま、「うー」など声を出してリップロールを行います
③の工程と同様、安定して長く続けられるようにがんばってください。
- ⑤ 音程を変えて、さまざまなバリエーションでリップロールを行います
音を短く切る・ロングトーンなど、普段のボイトレメニューをリップロールで行ってみましょう。
トレーニング前後で、発声のしやすさや声のつややかさの変化に驚くことでしょう。
リップロール(リップトリル)効果とメカニズム
リップロールは、唇を重ねた間に空気を通す事で唇がぶるぶると振動します。
上手に出来ない人は、リップロールで唇の間に隙間が生じたり、唇がずれたりしてます。
これは発声における「表情筋の固定」と同じです。
音程を変えたり空気量を変えた際にリップロールが止まってしまう人は、口(表情筋)を同じ形にキープできていない事になります。
口(表情)の形が変われば当然、声のトーンに変化が生じてしまいます。
リップロールをキープできるようになると以下のメリットがあります。
- 表情をキープするのに必要な表情筋が身に付く
- 表情を動かしてしまう不要な力みを取り除く事ができる
- 力みがなくなる事により、高い声も力まずに出すフォームが身に付く
- 喉を閉める事が減り、歌っていても喉が疲れにくくなる
難しく考えず「リップロールが止まるのは発声のバランスが悪い状態」と考えて良いのです。
単純にリップロールを続ける事は難しくありませんが、音程や声量を変えながら行うと苦手なポイントが見つかります。
どんな音程でも動き方でも、リップロールが安定して行えるようにトレーニングを行いましょう。
リップロール(リップトリル)安定して行うには
顔の使い方(口の形の作り方)や呼吸の調整(安定して同じ量の息を吐き出す)が必要となるため、体や喉に余計な力が入りません。
リラックスして余計な力が入っていない発声方法を、無意識に行うことができるのです。
また、声帯全体の活動を活発にし、血流をよくする働きがあり、ウォーミングアップにも最適。
声を出す前に少し行うと、リラックスした発声フォームになり喉を傷つけにくくなります。
リップロール練習メニュー・音声サンプル
リップロールの練習イメージをつかみやすいように、音声メニューを用意いたしました。
クリックすると音声が再生されますので、参考に取り組んでみましょう。
リップロールに必要な「正しい腹式呼吸」
呼吸の量にムラがあると唇の振動が不安定になり、リップロールが長く続きません。
お腹と背筋で肺から空気をゆっくりと押し出すようにイメージをして、コントロールできるようになりましょう。
自然と腹式で呼吸をコントロールする感覚がつかめてくるはずです。
音を長く伸ばす「ロングトーン」が苦手な方にも最適な練習方法です。
まだリップロール(リップトリル)に取り組んでいない方は、是非ご自身のボイストレーニングに取り入れてみましょう。