ボイストレーニング・歌の練習では「高音を出せる様に」「音痴な音程を直したい」などに目が向けられがちで、リズムがおざなりに。
アマチュアのボーカリストはリズムトレーニングも行わず、なんとなくなリズムで歌われている事も珍しくありません。
しかし!ボーカリストにとって「正しいリズム感」で歌えるようになるのは非常に大事!
今回はリズム感の重要性と、ボイトレで使えるリズムトレーニングの基礎についてご紹介します。
リズムやノリが悪いと、すべて台無し!
バックバンドの演奏やカラオケの質が良くても、ボーカルのリズムがおかしいだけで全体のノリが悪くなります。
ミスしてないし音程は合ってるのに、なぜか不安定・不快に聴こえてしまいます。
何故だと思いますか?
人は音楽を聴く際、ピッチやコードなどの概念より「リズム・グルーブ」を重要視するからです。
個人差はありますが、私が音楽聴く時「グルーブの良い音痴な音楽」はなんとか聴いていられますが「リズム感の悪い演奏・ボーカル」は生理的に受け付けずすぐに止めてしまいます。
もともと打楽器音楽や民族音楽には、音程概念が存在しないジャンルは少なくありません。
パーカッションの演奏を聴いて「音痴だ」と言う人はいませんよね?
音程やコードは、あくまでクラシックやポピュラー音楽において一般に浸透してる考え方。
心拍や歩くリズム、話すリズムなど生活全般に根付いている「リズム」概念と比較すると、人間の根源的な感覚とは少し遠いと言わざるを得ないのです。
「リズムの迷い」は「歌の迷い」に!
リズム感が悪いと「自分のリズム、合っているかな?」という不安が常につきまといます。
不安が少しでも生じると思いきり良く歌う事ができなくなり、自信なさげな弱弱しい声に。
リズムに気をとられ、ピッチや歌い方・歌詞等への意識が疎かになってしまいます。
私は録音ボイストレーニング教室のレッスンで多くの生徒の指導を行いますが、歌の基本やテクニックが出来ている方でもリズムが苦手な方は非常に多いです。
Youtubeやニコニコ動画での歌ってみた等、ネットの音楽活動が増えたのも原因の一つ。
みんながリズム感が良くないという事は、逆に他の人と差をつけるチャンスでもありますね!
本当に歌が上手くなるためには、リズム感はとても大切!
ボイストレーニングの中で、しっかりしたリズム感を身につけましょう。
リズム感を鍛える練習法
リズム感を鍛えるには、メトロノームを使った練習が基本です。
練習法をいくつか紹介いたしましょう。
① 通常の練習パターン
まずは、下記の音声を聴いてください。
内容を覚えたら、好きな発音で発声しましょう。
「あ」でも「う」でも何でも良いです。
これから様々なバリエーションで練習を行いますが、普段練習で行ってる発声フォームや声質を守りながら、リズムが変化してもクオリティーが落ちないよう心がけてください。
② 裏拍
メトロノームの位置が半拍うしろにずれています。
裏拍を意識して同じように歌いましょう。
③ 二拍四拍
メトロノームが「二拍目・四拍目」しか発音しません。
ガイドが少なくなりましたが、変わらず同じリズムで歌えるよう頭の中でリズムをならし、不足しているリズムを補って正確に歌いましょう。
④ [2][3]を手拍子で行う
慣れたらメトロノームでなく、手拍子で裏拍や二拍四拍を叩き同じメニューを行いましょう。
リズムを聴いて歌うのと、自分でリズムを作りながら歌うのは勝手が違うのが実感できます。
⑤ リズムずらしの練習
少しリズムに強い人なら、ここまでは簡単かも。
練習を少し難しくしてみましょう。
二小節で一つのシーケンス。
「ドレミ」の三つの音をガイドにあわせて歌っていただきます。
- 1回目は「1拍目表拍から」
- 2週目は「1拍目裏拍」
- 3週目は「2拍目頭」
回数を追うごとに半拍ずつスタート位置が後ろにずれていきます。
当然、終わりまでの距離は縮むので、常に「自分が今どの拍にいるか?」が把握できていないと、正しく歌いきる事ができません。
こちらも慣れてきたら、手拍子で行ってみると効果的です。
まとめ
リズム練習に大事な事は、体でリズムを感じる事。
最初は頭で考えすぎず、素直に体でリズムを取りましょう。
自分のリズム感がバッチリだと思ったら、一度録音してみましょう。
耳が良くなってくるとリズムが結構ズレている事がわかります。
歌っている間は集中していて、割とリズムがズレに気づけないんです!
継続的な練習をコンスタントに録音して確認しつつ、練習のつみかさねが大切です!